自分だけには「奇跡」が起きる
健康食品の科学的証拠は何もないことを説明してきましたが、「がんに効く!!健康食品」の販売(がんビジネス)サイトが用いる「体験談」と「医学博士」のセットツールは、例外的事例=「奇跡」に近い事象が万人に与えられる福音のように信じ込ませる、おかしな思想に導くこともあります。
『がんの補完代替医療のガイドブック』は、
「利用者の中には、医薬品=副作用を有する危険なもの、健康食品=食べ物だから副作用がなく、どれだけ摂取しても大丈夫。 といった誤解を抱いている場合も見受けられます。
その結果、現代西洋医学を完全に否定し、科学的根拠のない治療法を選択して不幸な結果になるということだけは、絶対に避けなければなりません。」
と書いています。
それは限りなく自殺に近い行為ですが、宗教と同じで信じてしまえば、他人はともかく自分には、自分だけには「奇跡」が起きるんだと信じ込んでしまうのでしょう。
また、臨床データがないということは、安全性についても十分に確認されていないということでもあります。
なかには、使用中に体調の異常を訴えると、「それは効果が出てきた証拠で、体の正しい反応(好転反応)」などと継続をすすめるものもあるとか。
体調に異常を感じたりした場合は、迷わず中止すべきだと思います。
なお、厚生労働省の動物実験で、一部のアガリクス製品に発がんを促進する作用が認められています(ヒトに対して直ちに健康被害を引き起こすという結果ではありません。)。
また、βカロテンをはじめ高濃度摂取でがん細胞の増殖を促進する可能性を指摘されているものも少なくありません。 健康食品の摂取により標準治療の効果を失わせてしまう場合も指摘されています。
たとえサプリメントの利用であっても主治医に相談されるのがよいでしょう。
また、最近は、金沢大学附属病院に「補完代替医療外来」ができるなどしていますので、こっそりと使うよりもそうしたところに相談してみるのもいいかもしれません。(個人病院はただのセールスマンってこともあるので注意が必要です)
「健康食品」にかかっているお金を、保険外治療薬・未承認薬など科学的裏付けの少しでもある治療法に回してはどうかといったアドバイスをする医師もいます。